交通事故の慰謝料相場は、ケガの程度や通院期間、後遺障害の有無によって大きく変わります。また、同じケガであっても、どの算定基準を使うかによって金額が数倍違ってくることも珍しくありません。保険会社から提示された金額をそのまま受け入れる前に、適正な相場を知っておくことが重要です。この記事では、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料それぞれの相場と計算方法を、交通事故を専門とする弁護士が正確な数字とともに解説します。
交通事故の慰謝料とは
交通事故の慰謝料は、事故によって被害者が受けた精神的な苦痛に対する賠償金です。主に次の2種類があります。
- 入通院慰謝料(傷害慰謝料):ケガの治療のために入院・通院したことによる精神的苦痛への賠償
- 後遺障害慰謝料:治療を続けても完治せず、後遺障害等級の認定を受けた場合に発生する賠償
(死亡事故の場合はこれとは別に死亡慰謝料が発生しますが、本記事では入通院慰謝料と後遺障害慰謝料を中心に解説します。)
慰謝料の3つの算定基準
慰謝料には、次の3つの算定基準があり、どの基準を用いるかによって金額が大きく変わります。
- 自賠責基準:法律で定められた最低限の補償基準。国土交通省が定める支払基準に基づき、全国一律の金額で計算されます。
- 任意保険基準:各保険会社が独自に定める基準で、金額は公表されていません。自賠責基準よりはやや高いものの、弁護士基準より低いのが一般的です。
- 弁護士基準(裁判基準):過去の裁判例の蓄積に基づく基準で、3つの中で最も高額になります。弁護士が示談交渉や訴訟で用いる基準です。
このように、どの基準を用いるかによって慰謝料相場は大きく変わります。
入通院慰謝料の相場
自賠責基準の計算方法
自賠責基準の入通院慰謝料は、1日あたり4,300円(2020年4月1日以降に発生した事故に適用)で計算されます。対象日数は、以下のいずれか少ない方の日数です。
- 実際の入通院期間(治療の初日から最終日までの総日数)
- 実際に治療した日数(実通院日数)×2
なお、自賠責保険では、治療費・休業損害・慰謝料などの傷害部分の損害を合計して120万円が支払いの上限となっています(国土交通省が定める自賠責保険・共済の支払基準による)。
弁護士基準の目安
弁護士基準では、むちうちなど他覚所見のない軽傷用の表(いわゆる別表II)と、骨折など他覚所見のある傷害に用いる重傷用の表(別表I)の2種類が使い分けられます。
軽傷用(むちうち等)の目安は次のとおりです。
- 通院1か月:約19万円
- 通院3か月:約53万円
- 通院6か月:約89万円
骨折など重傷用の場合は同じ通院期間でもより高額になり、たとえば通院3か月で60万円超、入院1か月・通院6か月ほどの傷害では100万円を超えるケースもあります(いずれも個別の治療経過により変動する目安の一例です)。
いずれの表を使う場合も、自賠責基準と比べて弁護士基準の方が高額になる傾向があり、実通院日数が少ない場合は増減の調整が行われることもあります。
後遺障害慰謝料の相場
後遺障害慰謝料は、後遺障害等級(1級~14級)に応じて金額が決まります。等級が重いほど金額は高くなり、自賠責基準と弁護士基準の差は等級が軽いほど大きくなる傾向があります(2020年4月1日以降の事故に適用される現行基準)。後遺障害慰謝料も含めた慰謝料相場を正しく把握しておくことが重要です。
等級別の慰謝料相場一覧
| 等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|
| 1級 | 1,150万円 | 2,800万円 |
| 2級 | 998万円 | 2,370万円 |
| 3級 | 861万円 | 1,990万円 |
| 4級 | 737万円 | 1,670万円 |
| 5級 | 618万円 | 1,400万円 |
| 6級 | 512万円 | 1,180万円 |
| 7級 | 419万円 | 1,000万円 |
| 8級 | 331万円 | 830万円 |
| 9級 | 249万円 | 690万円 |
| 10級 | 190万円 | 550万円 |
| 11級 | 136万円 | 420万円 |
| 12級 | 94万円 | 290万円 |
| 13級 | 57万円 | 180万円 |
| 14級 | 32万円 | 110万円 |
たとえば、むちうちで多く認定される14級の場合、自賠責基準では32万円ですが、弁護士基準では110万円と、3倍以上の差が生じます。この差は、等級が軽いほど大きくなる傾向があります。
なお、常時介護や随時介護を要する後遺障害(1級・2級の要介護等級)は、上記とは別に、より高い金額が定められています。
慰謝料を適正な金額で受け取るためのポイント
適正な慰謝料相場を受け取るためには、次のポイントを押さえておくことが大切です。
- 弁護士基準での請求を検討する:保険会社が最初に提示する金額は、任意保険基準や自賠責基準に基づいていることがほとんどです。弁護士が交渉することで、弁護士基準に近い金額での解決が期待できます。
- 通院を自己判断で中断しない:通院期間や実通院日数は慰謝料の金額に直結するため、医師の指示に従って適切な頻度で通院を続けることが重要です。
- 適切な後遺障害等級の認定を受ける:後遺障害慰謝料は認定された等級によって金額が大きく変わるため、症状や検査結果を正確に伝え、必要な資料を揃えて申請することが大切です。
弁護士に依頼するメリット
慰謝料は、算定基準の違いや後遺障害等級の認定結果によって、最終的な受取額が大きく変わる損害項目です。弁護士に依頼することで、弁護士基準に基づいた適正な金額での請求・示談交渉が可能になります。また、休業損害など他の損害項目とあわせて、総合的に適正な賠償額を算定してもらえる点も大きなメリットです。適正な慰謝料相場での解決を目指すためにも、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
「弁護士費用が心配」という方は、ご自身の任意保険に弁護士費用特約が付帯していないかご確認ください。弁護士費用特約を利用すれば、多くの場合ご自身の自己負担なく弁護士に依頼することができます。詳しくは、以下の記事もあわせてご覧ください。
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まとめ
交通事故の慰謝料相場は、入通院期間や後遺障害等級によって決まりますが、同じケガ・等級であっても、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準のどれを用いるかで金額は大きく異なります。保険会社の提示額をそのまま受け入れる前に、弁護士基準での金額を確認することが、適正な賠償を受け取るための第一歩です。示談を成立させる前に、交通事故の解決実績が豊富な弁護士へご相談ください。


